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2024-12-12 更新

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No 608 インド チェンナイの孤児院の視察レポート
インドの内陸部にある孤児院を視察してきました。
この孤児院は、インドの内陸部にあるタミル・ナードゥ州のイッカドゥという街にあるシャローム大聖堂に、保護されています。
この教会へは、インド南部の大都市、チェンナイの空港から、タクシーで約1時間半かけて、たどり着くことができます。
かなり奥地で、英語もほぼ通じず、観光客が1人もいない地域にある本当にローカルな地域にあります。
そもそもインドは、GDPで世界5位の大国です。数字で見ると、支援など不要など思われますが、実は相当に貧富の差のある国です。
インドが、貧しい時代から、この協会を通じて、ずっと支援を続けていた牧師の活動を支援する形で、今回は支援させて頂きました。
アジア最大のスラム ダラビスラムのレポートに続いて、インドのカースト制度の現実や貧富の差についても、レポートできればと思います。
インド チェンナイの孤児院 vol.1 子供達に古着の寄付 ( 260 )

写真 : シャローム大聖堂には、80名の孤児たちが集まりました
インドのタミル・ナードゥ州のイッカドゥという街にあるシャローム大聖堂というキリスト教会での寄付会に参加させて頂きました。
この週の州都であるチェンナイ空港から、車で1時間半ほどかかる場所にあります。
シャローム大聖堂には、タンガチャン牧師さんがおられます。この地の出身で、20年以上に渡り、布教活動と、孤児たちの救済活動を続けています。
いくつかの孤児院の子供達が、総勢で80名ほど集まってくれました。過去には、教会の敷地内に個人が在ったそうなのですが、現在は、インド政府からのキリスト教教会への風当たりが強く、数名づつに分けて、離れた場所で生活しているそうです。
特別な会なので、みんな着飾ってきていますが、生活は貧しく予備の衣料品などもあまり持っていません。
日本のものは、とても喜ばれますし、必需品の古着の寄付は非常に喜ばれます。
人数が多いので、サイズ違いなども発生しますが、お互いに交換したりして、うまく分配されていきます。
子供たちの顔を見ていると、1人1人に会う洋服を探して、送ってあげたい気持ちが生まれますが、なかなかそれは難しいです。せめて、全員にいきわたるように、数を送るようにしています。
いくつかのグループが、ダンスや歌などを披露して、イベントを盛り上げてくれました。
服の寄付会ではありますが、日本とインドの文化交流の側面もあります。
言語も風習も異なる中で、このようなイベントが、相互理解の一助になればと思います。
インド チェンナイの孤児院 vol.2 子供達に文房具の寄付 ( 261 )

写真 : 80名の子供たち、1人1人に、寄付させて頂きました
インドのシャローム大聖堂での寄付会では、古着に加えて、文房具の寄付も行いました。
良くある話ですが、公立学校の授業料自体は無料であっても、制服が買えない、文房具が買えないために、学校に通うことをあきらめている子供たちが、沢山います。
特に孤児たちは、みんな生活が貧しく、食べるのに精いっぱいで、文房具などもあまり持っていません。日本の文房具は、質が良く長持ちすると、とても喜ばれます。
今回は、あまり多くの文房具を持って行けず、1人あたりの配布は、少しづつとなりましたが、それでもとても喜んでくれました。
インドが経済大国になった後でも、強く残るカースト制度から抜け出し、貧困連鎖から抜け出るには、教育により、知識をつける事が必要です。
この中から、1人でも多くの子供が高等教育に進んで、賃金の高い自立した生活を得て、地域社会に還元できる流れができると良いなと思いました。
インド チェンナイの孤児院 vol.3 子供達に楽器の寄付 ( 289 )

写真 : インドの孤児院の子供たち。古着と文房具以外にも、ピアニカを寄付させて頂きました
インドの子供達には、古着や文房具と共に、ピアニカなどの楽器もお渡ししました。
インドでは、生活と音楽は密接に結びついています。お祝い事ではダンスや歌が披露されます。
孤児たちは、洋服も文房具もほぼ持っていないため、楽器は超高級品です。
なので、楽器を持って行くと、多くの子供たちが欲しがります。特に鍵盤ハーモニカは、ここインドでも大人気です。
1人1台は、寄付できないため、数人のグループでシェアしてもらいます。
鍵盤ハーモニカは、子供用の簡易な楽器ではありますが、本格的な音楽教育の入り口となりえます。
ここから音楽や演奏に興味を持ち、1人でも音楽の才能を開花する子が出て来ると良いなと思います。
インド チェンナイの孤児院 vol.4 インドの宗教について ( 262 )

写真 : 孤児院を支援しているインド奥地のキリスト教会
インドを理解する上で必要な宗教についてのレポートです。
インドでは、大多数の約80%の国民がヒンズー教徒です。ついで、イスラム教徒が14%、キリスト教徒が2%となっています。仏教は意外に少なく1%未満です。
ただ人口が多いため、2位のイスラム教徒でも、1億人以上存在しています。
インド憲法は、宗教の自由を保障しており、カースト制度を否定しています。しかし、インドには、カースト制度が根強く残っており、基本的には職業選択の自由が無い場面が多く残っています。洗濯の仕事をする人は洗濯の仕事など、代々そのカーストで生まれた人々が同じ仕事に携わります。
カースト制度は、ヒンズー教に根差した制度であり、インド人の8割がヒンズー教信者です。そのため、街中で、インドの人々に聞いても、カースト制度はあることが普通という認識の人が殆どです。
勉強して知識を身に付けて、ITなどの職を手に付けるなどしないとこのカーストから抜け出す事ができません。ダラビスラムのレポートでも感じた事ですが、貧しい生活の中で、高等教育を受けて、カーストから抜け出せる人はほんの1握りです。
多くの特に貧しい人々は、経済大国となった今も、相変わらず同じカースト制度の中での昔ながらの生活を続けています。
インド憲法の規定とは異なり、実際にはヒンズー教とカースト制度が政治的にも重要な位置を占めています。宗教が政治と結びつく事は、世界中で見られることです。インドでは、憲法で宗教の自由を保障する一方で、改宗防止法という法律がつくられました。信仰した宗教を変えてはいけない。という法律です。
特に、下層のカーストの貧しい人々は、救いを求めてキリスト教や仏教に改修する事が多く、その事態を重く見た政府が成立させた法律だと言われています。
今では少数派となった仏教は、インド生まれの宗教で、カースト制度を否定する宗教でした。そのため、多くのカースト下位の貧しい人々に、受け入れられました。インドの長い歴史の中で、多数派のカースト肯定のヒンズー教信者からの多くの排斥があり、インドでの仏教の地位を落としていったのだと考えられているそうです。
現代の改宗防止法により、キリスト教や仏教の集会が禁じられ、弾圧がある意味合法化された面があります。実際に多くのキリスト教会やキリスト教徒への襲撃事件などが頻発しており、多くのキリスト教会が閉鎖に追い込まれたそうです。
一部の過激派だけの問題ではなく、州や市などの公的機関も巻き込んでいるため、問題はより大きいようです。この教会でも、敷地外での活動は行う事ができず、何度も市の職員などが来て、許可証などを求められたようです。また、公安当局に連れていかれて、牧師さんが、何時間か拘束されたことも数度あるそうです。
チェンマイから2時間ほどかかる内陸部のかなり田舎の街だという事と、市の担当の方が過激ではないため、大きな襲撃や排斥には至っていないようですが、本当にぎりぎりの活動なのだという事を、現地で実感しました。
私たちは、世界の多くの国でレポートや活動を行っており、どの国でも宗教には中立の立場ですが、宗教は政治や経済と結びついているため、色々な政策や風習や問題を目にすることがあります。しかし、慈善活動を行っている宗教団体を迫害に近い形で排斥しようとする行動が、実際に行われている国は初めて目にしました。
まさに教科書の中で見たような、宗教の迫害というものが、今の時代に起こり得るのだと改めて認識しました。
ウクライナやガザ地区の戦闘が大きく報道されていますが、その裏ではもっと多くの様々な地域紛争が起こっています。
経済大国のインドでも、東南アジアのミャンマーでも、宗教や利権から起こる政治的対立での地域紛争は、無くならないのだと改めて感じさせられました。
経済大国となったインドで、なぜ貧困が無くならないのか?
その答えの1つが、宗教問題とカースト制度にある事を、今回のインド視察で強く感じました。
宗教問題に根差しているインドの貧困問題は、スラムや、貧村の貧困問題とは異なり、世界の中でも珍しい構造に思えます。
■ 関連情報
・ 260 インド チェンナイの孤児院 vol.1 子供達に古着の寄付 ・ 261 インド チェンナイの孤児院 vol.2 子供達に文房具の寄付 ・ 289 インド チェンナイの孤児院 vol.3 子供達に楽器の寄付 ・ 262 インド チェンナイの孤児院 vol.4 インドの宗教について