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は、インド・ムンバイに位置するアジア最大級のスラムで、数十万人が暮らしています。狭い居住空間の中に、皮革加工、リサイクル、縫製、陶器、食品加工などの零細産業が密集し、ダラビは「貧困地区」であると同時に、巨大な非公式経済圏として機能しています。その背景には、インドのカースト制度の歴史と、都市化がもたらした新たな格差構造があります。
ダラビで働く人々の多くは、地方から流入した出稼ぎ労働者で、指定カースト(SC)やその他後進階層(OBC)、指定部族(ST)出身者が多く含まれます。平均賃金は職種によって差がありますが、日給で300〜600ルピー前後、月収にすると8,000〜15,000ルピー程度が一般的とされています。皮革加工やリサイクルなど熟練を要する仕事では、やや高い収入を得る人もいますが、労働時間は長く、安全対策や社会保障はほとんどありません。家族を養うには十分とは言えず、子どもも家計を支えるために働くケースが少なくありません。
こうした経済状況は、教育問題と深く結びついています。ダラビには公立学校やNGOが運営する学習センターがありますが、就学率と継続率の低さが大きな課題です。多くの家庭では、子どもが学校に通うことで失われる労働力や収入を負担と感じています。特に中等教育に進む段階で退学する子どもが多く、読み書きや基礎計算は身についても、将来の選択肢を広げる学力には届かない場合が目立ちます。
カースト制度の影響も、教育格差を通じて再生産されています。法的には差別は禁止され、予約制度によって大学や公務員への進学・就職の道は用意されていますが、ダラビの多くの家庭は制度にアクセスする前段階で脱落してしまいます。親世代が低学歴であるため、教育の価値や制度の仕組みを十分に理解できず、子どもを長く学校に通わせることが難しいのです。
一方で、ダラビはカーストの固定性が相対的に弱まる場でもあります。異なるカーストや宗教の人々が同じ工房で働き、収入や技能が評価の基準になる場面も多く見られます。しかし、低賃金労働と教育機会の不足が続く限り、社会的上昇は限定的です。子どもが親と同じ非正規労働に入ることで、貧困とカースト的役割が都市の中で形を変えて再生産されているのが現実です。
2026年のインドにおいて、ダラビ・スラムは、カースト制度が法的には解体されつつも、賃金水準と教育格差を通じて生き続けていることを示しています。平均賃金の低さと不安定な労働環境、そして教育の継続の難しさは、個人の努力だけでは乗り越えにくい構造的問題です。ダラビの課題は、単なるスラム問題ではなく、インド社会が平等と成長をどのように両立させるのかを問いかける象徴的な事例だと言えるでしょう。




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